コラム

心の氷を融かす

あるところに未婚の三十路の女性がいました。
彼女は自分のことをいつも本気で「かわいくない。」と言っていました。
目がどうだとか体型がどうだとか性格がどうだとか・・・否定的な部分ばかりを取り上げていました。

ですが、実際は本人が言うようなかわいくない女性ではないのです。
とびきりの美人ではありませんが、なかなかかわいらしい女性だったのです。
彼女に実際に会った人は、「わたし、かわいくないから」というセリフを聞くたびに「かわいいよ~」と言うのですが、本人は頑なに「そんなことない」と反論してきます。

それが自信のなさから来るのか、防御の気持ちから来るのかわかりませんが、恋愛においてもネガティブ発想になってしまうようなのです。
ところが、そんな彼女のハートを射止める男性が現れたのです。
彼女はその彼のことは知ってはいたものの、男性として意識したことのない人だったそうです。
しかも、年齢も彼女よりもかなり上なのだとか。

ですが、「特に断る理由もない」という程度の気持ちから交際が始まりました。
それが交際を重ねるごとに彼の良さに気づくようになったのです。
優しさだとか心の広さだとか頼り甲斐だとか・・・。
そして、なによりも自分を本当に大切に思ってくれる人だということに気がつきました。
それからはもうトントン拍子で事は進み、結婚の約束をするまでになったのです。

最近の彼女の口から出るのは、彼を褒める言葉ばかりです。
では、彼女は彼女自身を褒めるようになったかというと・・・
相変わらず、「わたしはかわいくない」と言い続けています。
ですが、そこは彼女の照れ隠しだと思えるのです。

本当の愛は心の氷を融かします。
自己否定という鎧を外します。
今、彼女は心の中で「わたし、かわいいかも」と思っているのではないでしょうか。

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